転倒予防学会にむけて

こんにちは(^ ^)

骨粗鬆症マネージャーが教える!骨折予防に必要なこと 第48談

 

今回は、明日から開催される日本転倒予防学会・第4回学術大会についてです。

今回は岩手県の盛岡市にありますアイーナ(いわて県民情報交流センター)で開催されます。

岩手県には初めて行きます。イメージは盛岡冷麺ですね。あとは、じゃじゃ麺ですかね。

 

骨粗鬆症と転倒の関係性は非常に強いことは周知のごとくです。

脆弱性骨折の原因のほとんどは転倒によって起こります。

大腿骨近位部骨折では90〜95%は転倒によって発生しています。

 

よって、骨折を予防するためには骨を強くすることと同時に転倒を予防することが非常に重要です。

 

学会プログラムを見ましたが、非常に興味深い内容がいっぱいで今から楽しみです。

 

この学会に私も発表させていただきます。

演題名は、大腿骨近位部骨折症例に対するロコモ25を用いた受傷前の運動機能評価」です。

 

ロコモティブシンドロームとは、「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」と表します。

また、大腿骨近位部骨折はこの移動能力の低下を大きく低下させ、ロコモを発症または悪化させる恐れがあります。

 

よって、大腿骨近位部骨折とロコモの関係性は強く、双方に対する予防が重要になります。

今回は、大腿骨近位部骨折症例に対して受傷前のロコモの状況を調査した内容を報告させていただく予定です。

(スライド表紙)

 

どのような意見が聞かれるかわかりませんが、非常に楽しみです。

また、発表報告もさせていただきますね。

 

以上、骨粗鬆症マネージャーが教える!骨折予防に必要なこと 第48談でした(^ ^)

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FRAX®のカットオフ値と問題点

こんにちは(^ ^)

骨粗鬆症マネージャーが教える!骨折予防に必要なこと 第45談

 

FRAX®の話題、3連チャンです。

前々回は、FRAX®の特徴を利点を中心に、前回は計算に必要な12個の危険因子について紹介をさせていただきました。

今回は、FRAX®のカットオフ値と欠点についてご紹介させていただきます。

 

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版による薬物治療開始基準の一部にFRAX®が使用されております。

下の図を見ていただきたいのですが、

脆弱性骨折がなく、骨密度がYAMの70%より大きく80%未満の場合は、FRAX®の結果で薬物を開始すべきかどうかがわかります。

そのFRAX®の結果ですが、骨折確率が15%以上であれば、薬物治療が開始となっていますね。

 

このカットオフ値の15%ですが、仮に10%とすると、ほとんどの方が治療対象となってしまい医療費増大の点で問題となるそうです。

そして、もし20%とすると、治療が必要な人を十分に拾い上げることができず、スクリーニングとしては厳しすぎる基準となるそうです。

よって、15%が至適基準になったそうですが、問題点があります。

 

FRAX®は年齢の影響を受けやすいため、80歳以上はほぼ全例で治療開始の対象となってしまいます。

よって、80歳以上に対して治療開始カットオフ値を15%とすることには問題があるということで、FRAX®に使用は40歳以上75歳未満に限定されます。

 

その他、FRAX®における欠点を何点か列挙して見ました。

 

欠点

  • 続発性骨粗鬆症の若い人に適していない
  • すべての危険因子(転倒など)が含まれているわけではない
  • 2型糖尿病患者においては骨折確率は過小評価される
  • 自国のツールがない国もある
  • 10年以内の骨折予測を示すが、期間、治療効果が評価できない
  • 大腿骨骨密度を用いる場合とBMIを代入する場合ではリスク評価が異なる

 

これらの欠点を十分に理解した上で、対象者ごとに骨折確率の解釈をすれば良いのではないかと思います。

是非皆さんも、簡単に計算できるので、試してみてください。

 

以上、骨粗鬆症マネージャーが教える!骨折予防に必要なこと 第45談でした(^ ^)

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FRAX®の計算に必要な12の危険因子とは?

こんにちは(^ ^)

骨粗鬆症マネージャーが教える!骨折予防に必要なこと 第44談

 

前回は簡単ではありますが、FRAX®の紹介をさせていただきました。

今回は骨折確率を算出するために必要な12の危険因子についてご紹介させていただきます。

 

以下に12の危険因子を挙げました。

 

・年齢

・性別

・体重

・身長

・骨折歴

・両親の大腿骨近位部骨折歴

・現在の喫煙

・糖質コルチコイド

・関節リウマチ

・続発性骨粗鬆症

・アルコール(1日3単位以上) 3単位→こちらを参考

・骨密度(大腿骨頸部の骨密度)

 

大腿骨頸部の骨密度はDXAによって測定された結果を入力する必要がありますが、測定ができない場合はその他の臨床危険因子のみでも計算できます。

 

骨密度以外は比較的簡単に聴取できる項目であるため、適応範囲が広いですね。

 

当院が開催した骨粗鬆症をテーマとした市民公開講座では、FRAX®の測定コーナーを設けたのですが、非常に好評で算出された骨折確率に対して様々な反応がみられました。

 

骨折や転倒に対する注意喚起を促すためにも、非常に有効な評価ツールです。

 

次回は、FRAX®のカットオフ値や問題点についてお伝えしたいと思います。

 

以上、骨粗鬆症マネージャーが教える!骨折予防に必要なこと 第44談でした(^ ^)

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計算してみよう!あなたの今後10年間の骨折リスクは?

こんにちは(^ ^)

骨粗鬆症マネージャーが教える!骨折予防に必要なこと 第43談

 

あなたは、今後10年間の骨折りスクはどれくらいかご存知ですか?

リスクは低いのか、それとも意外と高いのか。

気になりませんか?

 

現在、その骨折りスクを簡単に評価できる方法があるんです。

その評価ツールの名前は、FRAX®(fracture risk assessment tool)です。

フラックスと呼びます。

 

これは、2008年にWHOにより提唱されたもので、その人の今後10年間に起こると予想される骨折発生危険度が計算できます。

 

方法は、インターネットに接続し、12の危険因子を入力するだけです。

そうすると、自動的に大腿骨近位部あるいは主要骨粗鬆症性骨折の骨折確率が算出されます。

(FRAXの入力画面)

計算式は非公表ですので、机上ではできません。

以下にFRAX®の特徴を挙げました。

 

FRAX®の特徴

・世界44カ国のツールが作成されている

・各国の骨折発生率、平均余命で調整されている

・50歳以上の男性、閉経後女性に使用できる

・取り扱いが簡単である

・日常診療に適用できる

・閾値はあくまで「提案」であり治療を強制するものではない

 

各国ごとに計算式を調整されているのは大きな特徴ですよね。もちろん日本版も作成されています。

 

また、日常診療での取り扱いが簡単で、病院の待ち時間のうちに患者さんに必要項目を記入していただき、病院職員が骨折確率を算出してから、診察を受けるといった方法をとっている病院もあるそうです。

 

私も使用しておりますが、非常に簡単ですぐに算出することができます。

 

次回は、計算に必要な12の危険因子についてお話をさせていただきます。

 

以上、骨粗鬆症マネージャーが教える!骨折予防に必要なこと 第43談でした(^ ^)

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